ケーススタディ

羊肉のなみかた

http://www.umai.co.jp/~niku/index.html

コピーの力

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 繁盛しているオンラインショップの中には、一見稚拙ともみえる素人っぽいデザインの店が少なくない。しかし、素人っぽいデザインだからといってあなどってはならない。じつはその裏には、周到に計算された「売るためのノウハウ」が隠されている場合が多いのだ。
 この『羊肉のなみかた』さんもそのひとつ。この店のネットデビューはじつは5年前、なんと日本で2番目に立ち上げられたオンラインショップだというから、事実上日本における「下手うま的オンラインショップ(?)」の草分けともいえるだろう。では、どこが隠されたノウハウなのか。以下にまとめてみた。

●米沢弁を使うことで、お店の信頼性をアピール

 米沢弁によるコピーは、店主の誠実できどらない人柄とともに、地元でまじめにやっているーーーしたがって実際に店鋪があり、けっしてネット上だけの「仮想商店」ではないーーーことをアピールすることに成功している。またこのことはお客さまの購入に対する心理的警戒感を解除するのにも役立っている。

●長めの商品コピーで購買欲求を喚起

 商品コピーは比較的長く、これでもかこれでもか、というばかりにさまざまな角度からそのセールポイントを訴えている。また(米沢弁などで)最初にお客さまの心理的警戒感をかなり解除しているので、その分、説得力も増大していることに注意すべきだろう。さらにいっそう食欲をそそるためページ上で「肉を焼く音」を聞けるようにしているところもユニークな点だ。

●お客さまの声で商品の信頼性をアピール

 実際に買ってくれたお客さまの声をきちんと載せていることで、商品に対する信頼性を増加させている。とりわけ、写真入り(!)のお客さまの声は、きわめて説得力大である。

●「買う気」を切らない注文ページ

 注文ページで大切なのは一度購入を決意した人に対し、いかに「買う気」を切らないようにするか。その点、ここではショッピングカートの使用とともにさりげなく添えられた商品説明が、買う気を切らないという点で大きな効果を発揮している。

 以上が、このサイトに隠された売るためのノウハウであるが、デザイン面からみれば、もう少し改良の余地もありそうだ。たとえば、トップページだが、ここに商品写真がないのはすこしさびしい(現状のサイトでもあることはあるのだが、ページの下のほうにあり、スクロールしないと出てこない)。それにページの背景もちょっとさびしい(しかも背景色がデフォールトに設定されているので、マックで見ると灰色になってしまう)。あえてそのようにしているのかもしれないが、食欲の喚起という点ではやはり一考の余地があろう。もう少し、「羊肉らしさ」を演出したほうがよいと思われる。
 
 またナビゲーションの分かりにくさも気になるところだ。たとえば、「商品一覧ページ」へのリンクボタンがどこなのか、いまいちはっきりしない。オンラインショップの場合、まず「商品一覧ページ」で全商品を確認したいと思うのは、わたしだけだろうか。おすすめ商品があったとして、それが全商品の中でどのような位置付けにあって、それがどのくらい「お得」なのか、誰しも確認した上で注文したいと思うのが人情というものではないだろうか。もっともよくみると「発送商品一覧」というのが「商品一覧」に相当するようだが、この言葉はいまひとつピンとこない。ここは言葉を変えたり、もう少し目立つようにデザインすべき部分であろう。
 こういったデザイン上の若干の不備はあるものの、それでもこのサイトのすばらしいところはそうした不備をささいなものにしてしまうだけのコピーの力だ。しかもその力が、小手先のレトリックではなくて店主の人柄からにじみ出ているという点にこそ、このサイトのユニークさと販売力の秘密があるのだろう。

(文責:高橋 晋一郎)

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