第5章
信用がないのなら自分の手で作り出せ E-コマースがなかなか普及しない背景には、ECサイトそのものに対する「信用」の不足がある。もちろんそこには決済の問題――とくにクレジットカードにまつわるセキュリティの問題――も密接にからんでくるのだが、原因はそもそもECサイトの多くが全国的な知名度をもたない個人商店あるいは中小零細企業であるというところにある。無名である、個人商店である、ということは、それだけ信用力が不足しているということである。そのことは消費者のほうからみれば、「本当にこの店で買っても大丈夫なのだろうか」という疑心暗鬼を生む。しかし、これを逆の視点からみれば、こうした「信用」にまつわるハードルさえクリアできれば、ECサイトの売上をアップすることも不可能ではないはずである。 では、この「信頼性」を上手にアピールするには、どうすればよいのだろうか。 積極的な情報公開で信頼性を向上させる 信頼性を高める方法として、もっともてっとりばやいのが情報公開である。そしてその基本となるのが企業情報の開示、すなわち住所、連絡先、代表者の氏名、業務内容といった企業にまつわる最低限の情報を公開することである。 じつは、このオーナーの顔写真をのせるというテクニックは、通信販売の世界ではすでに常套手段となっている。実際、そこにオーナーの顔写真があるのとないのとでは、購入率にも大きな差のつくことが、長年の経験から実証されているのだ。 情報公開のもうひとつの方法は、お客様の生の声を掲示板やページ上に掲載することである。実際に商品を買ってその使い心地を体験したお客様の声ほど、雄弁なものはない。とくに「この商品なら絶対間違いない」とすでに確信をもっているお客さまならいざしらず、「本当にこの商品でいいのだろうか」とあれこれ悩んでいるお客さまにとって、この「先輩使用者の声」は客観的な判断基準を提供してくれる貴重な情報源となる。 もっとも「お客様の声」を出すのは、何も販売実績を自慢したり、まわりを「信者」やおべっか使いでかためるのが目的ではない。むしろ、お客様の厳しい意見や率直なクレームにも素直に耳を傾け、誠実に対処しているという真摯な姿勢を見せることが、重要なポイントなのである。 実際、一人のお客さまのクレームによって企業側の信頼性が損なわれるケースは、ほとんどない。むしろ、クレームに対して誠実に対処することが、結果として企業の信頼性をかえって向上させるケースのほうが圧倒的に多い。その意味では、掲示板に書かれたクレームは、信頼性を高めるチャンスでもある。大いに活用したいものである。 売れている雰囲気と権威の利用 一般に人は、売れている店、繁盛している店で買い物をしたいと思うものである。それは、「売れている」→「よい商品であるに違いない」→「この店なら信用できる」というプラスの連想が働くためであろう。 それでは、この「売れている雰囲気」演出するには、いったいどうすればよいのだろうか。その方法のひとつに、客の姿を見せるというやりかたがある。とはいえ、ECサイトの場合、通常の店と違って、他のお客様が買い物をしている姿を直接見ることはできない。 しかし直接的に見せることができなくても、間接的に見せることは可能であろう。 ひとつは、売り上げランキングの公開である。これは、いま一番売れているのはこれ、二番目はこれ、と商品ごとの売り上げ状況を公開することである。ただし、ただたんに商品ごとの売上順位を示すだけでは効果はうすい。今月の売上数は具体的にこれだけ、その内訳はA商品が何個、B商品が何個というように、できるだけ詳しいデータでないと、データ自体に信憑性が出てこないからだ。 売上明細を開示するのは、いわば人に財布の中身を見せるようなもので、オーナーとしては、あまり気がすすまないやりかたかもしれない。だが、もしそれができれば、お店の信頼性は飛躍的に高まるだろうし、また、それに応じて売れ行きもぐんぐん伸びていくはずだ。 信頼性を高めるもうひとつの手段として、しばしば権威づけという方法がとられる。これは、よく通信販売のカタログなどに「〜博士の推薦文」などというのが、顔写真入りでのっているが、あのやり方である。 人は一般に権威に弱い。権威ある人から「こうだ」と断定されると、なんとなく信じてしまうものである。よい悪いは別にして、こうした人間特有の心理に訴えるのが、この手法である。 ただ、社会的地位のある人や有名人を起用するにはお金がかかる。そこで、ここではもっと簡便で費用のかからないとっておきの方法をご紹介しよう。それは、「あの〜さんがTVドラマの中で着ていた服はこれ」、「〜国大統領夫人愛用のドッグフードはこれ」、「プロ野球選手〜さんの大好物として話題の料理はこれ」、というように商品のわきにちょっとしたコメントを添えておく方法だ。 こうすれば、費用ゼロで有名人の権威や人気をちゃっかり利用することができる。ただ、これもあまりやりすぎると、当の本人からクレームがつくことも考えられるので、あくまでもさりげなく、そしてコメントの表現には十分注意する必要がある。 買う気を切らない、買う気を促す 「よしこれを買おう」とレジにもっていったところ、客が何人も並んでいるのをみて、「やっぱり今度にしよう」と思った経験はないだろうか。 これは、せっかく高まった購買意欲が途中で水をさされてしまった例である。似たようなことはECサイトでも起こりうる。なかでも多いのが、注文フォームにからむ部分である。注文フォームのネックは、記入に手間がかかるという点だが、手間がかかるということは、それだけ買う気に水をさすことになる。そのため、ショップ側としてはチェックボックスやポップアップメニューを多用するなど、できるだけ記入部分を少なくするよう工夫することが大切だ。 買う気を促すテクニック この買う気を切らない、から一歩進んで、買う気を促すテクニックというのもある。買おうか買うまいか迷っている人に対し、いわばあとおししてやるテクニックだ。具体的には、つぎのような方法がある。 限定 割引 プレミアム じつはこのあたりは、従来の販促手法がほとんどそのまま応用可能な部分でもある。最初に、ECサイトは「八百屋」と同じであるといったが、なにもECサイトだからといって従来の販促手法がまったくあてはまらないと頭からきめ込む必要はない。要は、ECサイトの本質をきちんと把握したうえで、応用できるところは応用すればよいだけの話である。
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